MONO知り会

- も の し り か い -

新しくメンバーになった 4 人が
MONO の過去作品の DVD を鑑賞し
MONOを深堀していく企画

第3回
我々「MONO一年生」メンバーによる、過去作品鑑賞企画。第3回は奥村泰彦の推薦作品『相対的浮世絵』
まだ僕たちに出会う前のMONOは一体どんな顔を見せてくれるのだろう…
 故きを温めて新しきを知る
この企画を通して、皆様と「MONO30年」の時間を共有したいと思います。

MONO 石丸奈菜美 高橋明日香 立川 茜 渡辺啓太  2019年5月

『相対的浮世絵』

第32回公演|2004.12 ◇北九州芸術劇場 小劇場 ◇AI・HALL ◇長久手町文化の家 風のホール ◇浜松フォルテホール ◇シアタートラム

いつも一緒だった四人。高校生だったある夏、二人が事故で死亡した。そして月日が流れ……。
今、四人は話に花を咲かせている。想い出話から現在のことまで話題は様々だ。しかし大人になった二人と高校生のままの死んだ二人の会話は食い違う。人と人 との関係。それはどうしたって相対的にならざるを得ず、しかしそれではどうにも消化できない個々の想いもあり……。そんな浮き世をシンプルに描いた作品。

撮影:谷古宇正彦

奥村泰彦 おすすめコメント
MONOの演目の中で再演するとしたらこれがやりたいですね。前回より歳を重ねたからこその深みと味わいが出せる芝居ではないでしょうか。
土田さんがイギリスでの充電期間を終え、MONOが男性5人組の新体制になった直後の作品。セリフ量の多さ等、大変だったけれど、とてもやりがいのある公演でした。 
しかしながら「相対的浮世絵」はあまり人気が無いらしい。私的には面白い作品だと思うのだけどなぁ…。

  • 渡辺啓太(わたなべ けいた)

    俳優

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    2004年のクリスマス、東京・三軒茶屋のシアタートラムで見たこの舞台は今でも僕の中で大きな存在として残っています。
    関西出身の先輩に勧められ、初めてMONOの作品を観劇したのがこの作品です。まだ初舞台も経験していない当時20歳の僕にとって、そこで見た全てが衝撃でした。
    出演者5人の会話だけで空間を支配して、いつの間にか自分も物語に没入していて、自分の感情を先回りして涙を流し、笑いがこみ上げてくるような不思議な感覚を覚えています。まさにMONOという劇団が作り出すアンサンブルの真骨頂であると、作品を見返して改めて思いました。
    相対的浮世絵はDVDを購入して何度も見た作品で、僕とMONOを引き合わせてくれた作品だと思ってます。今回みんなと一緒にこの作品を見れて本当に良かったです。(DVD鑑賞中、何度も解説を入れたくなりましたが、みんなも集中して見ていたので必死に我慢しました…)
    奥村さん、相対的浮世絵を推薦してくださりありがとうございます!!あの時の感動を忘れずに、先輩たちの背中を必死に追いかけて行きます!!
  • 立川 茜(たつかわ あかね)

    俳優

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    「幽霊モノ」のホラーじゃない怖さ、居心地の悪さ、違和感。
    死者の二人はひたすら無邪気だけど、そこには隠れた本音があるはず。生き残った二人は、それに触れられないまま死者のペースに飲まれていく。
    ひたすら続く楽しい思出話がいつ崩壊するのか、ヒヤヒヤしつつ、どこか楽しみに見つめていました。
    本音や機微を見たい、読み取りたいと、つい前のめりになってしまう、そんな「引き」が強い芝居、魅力的だなあ。余分な説明や自意識がないからなのかなあ…。

    あと、金替さんの役が、結構な「どうしようもないヤツ」だったのがいつものイメージと違ってサイコーでした。
  • 石丸奈菜美(いしまる ななみ)

    俳優

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    「算段兄弟」(2016)の稽古期間に、渡辺さんが今作への愛を幾度も語っていたのを覚えています。
    軽快な会話に笑っていたら、いつの間にか核心に触れていてドキッとさせられるのはやっぱりMONOだなと。「その日」のあらましを知ってから、それまでの遠山や達朗の明るさや笑顔が眩しくて切なく、だからこそ、智朗や関がゲームに乗るシーンがより苦しかったです。
    物語に圧倒されながら、献身と自己犠牲の違いを自分に問いかけていました。役者の声や表情への共感から、自分のこれまでの体験への理解が深まる、観劇の喜びを深く感じた作品でした。
    ああ、できれば劇場で観たかったな……。渡辺さんが羨ましい!だわな、まあな、だわな!
  • 高橋 明日香(たかはし あすか)

    俳優

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    この作品は大学時代にMONOの兄さん達ではなく、違う役者さんが演じたのを観たのが私の初土田さん作品をでした。その時の印象は怖くて暗い、大人なお話だなという印象だったのですが、鑑賞会でDVDを見て、終始笑いが止まらずホラーコメディなんだ〜!という印象に変わりました。他のMONO作品と比べると登場人物達の悪い部分がしっかりと描かれていて人間の汚い所を追い詰めていく感じがありました。女性の登場人物はいないですが幽霊役をやってみたい。

撮影:田口友弘

啓太さんはMONO作品で「相対的浮世絵」が一番好きなので、僕は何回も観てるから皆観やすい所で観てねと気を遣ってくれたり、何度か解説を入れたそうにしている姿が面白く、可愛かったです。10月に上演される「相対的浮世絵」がとても楽しみになりました。(高橋明日香)