MONO知り会

も の し り か い

新しくメンバーになった 4 人が
MONO の過去作品の DVD を鑑賞し
MONOを深堀していく企画

第6回
我々「MONO一年生」メンバーによる、過去作品鑑賞企画。第6回は『その鉄塔に男たちはいるという』
まだ僕たちに出会う前のMONOは一体どんな顔を見せてくれるのだろう……
 故きを温めて新しきを知る
この企画を通して、皆様と「MONO30年」の時間を共有したいと思います。

先輩方の推薦作品も一回りした第6回は、土田英生推薦で2・3月の本公演にて約20年振りに再演される『その鉄塔に男たちはいるという』。「20年前の鉄塔はどんな風だったのだろう」「新しい鉄塔はどのようになるのだろう」そんな想いを馳せながら特典映像までじっくり観させて頂きました。

MONO 石丸奈菜美 高橋明日香 立川 茜 渡辺啓太  2019年12月

『その鉄塔に男たちはいるという』

MONO第23回公演|1998.12 ◇AI・HALL
OMSプロデュース公演|2001.6 ◇扇町ミュージアムスクエア

戦意高揚のために送り込まれた慰問部隊。そこから逃げた4人は深い森の中に立つ巨大な鉄塔に隠れている。彼らは戦争が終わるまでそこで過ごすつもりなの だ。ある時、そこに一人の脱走兵がやってくる。彼の話によれば、4人がここにいることはばれているらしい。そして、終戦を迎えた時、彼らを取り囲んでいたのは銃を構えた日本人達だった。

撮影:松本謙一郎

土田英生 コメント
改訂再演が決まっていたので、どうしても観ておいて欲しかったという事情もあったけれど、何より新しいメンバーには「水筒のシーン」におけるキャストの間での空気の作り方、アンサンブルの妙を確認して欲しかった。MONOという劇団が持つ強みは、“演技の共通言語”を役者それぞれが完璧に身につけていることだと思う。他が真似できない集団創作をこれからも続けたいと願っているので、その指針になるんじゃないかと勝手に思っている。

  • 石丸奈菜美(いしまる ななみ)

    俳優

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    好きなシーンがたくさんあります。静かに始まるオープニング、笑顔のまま振り上げた拳を下ろせない言い合い、コミックメンの練習風景やネタ合わせ、エンディング……。特に、言い合いのシーン!MONOのカラーのひとつでもある小競り合いは、この作品から始まったと聞きました。その後、幾度も(20年以上!)言い合いをしてきた先輩たちのあのシーンは、今回どうなるんだろうとワクワクしています!
    新作部分はこの作品にどう関わってくるのか。そこも楽しみにしていただけると幸いです!稽古をしながら、アイデンティティや帰属意識について考える日々なのです。
  • 高橋 明日香(たかはし あすか)

    俳優

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    MONOの作品の中でも色んな団体の方が上演された作品でもあり、これが“MONO”というシーンが沢山詰まっている作品なので何度か土田さんにオススメされてDVDで観ていました。
    改めて「怠惰なマネキン」の稽古中に全員で鑑賞。
    鑑賞中、脳内はいつのまにか20年前の作品を今のMONOの兄さん達が演じたらどうなるんだろう。土田さんはどう作品に味付けしていくのだろうとそんな事ばかり考えて、これからの稽古に想いを馳せていました。
    私のオススメポイントは序盤の暗闇から声が聞こえてくるシーンです。声だけを頼りに役者の表情や状態を想像する時間はスリリングでした。
    一度DVDを観て再演を観るのも一つの楽しみかもしれません!!
  • 渡辺啓太(わたなべ けいた)

    俳優

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    この作品の戯曲を初めて読んだのは20歳の時でした。
    今回改めてDVDを観て、当時より物語がリアルに近く感じました。時代が変わり、環境も変わり、同じセリフでも受け取り方が変わってくるものなのだなと思いました。
    20年振りの再演ではありますが、再演ではなく、新たな作品として楽しむこともできるのではないでしょうか。
    童話「アリとキリギリス」を例え話に自分の想いを喋るシーンが一番好きなのですが、この時の水沼さんがめちゃくちゃカッコいい!!このシーンを生で観れることが個人的な楽しみの一つであります…

    MONO30周年イヤーのラストを飾る「その鉄塔に男たちはいるという+」。初演を知る方も、初めて観る方も、どうぞお楽しみにお待ちくださいませ!
    そして、僕たちが出演する新作パートがこの作品とどのように絡まっていくのか…こちらも皆様に楽しみに思っていただけたら嬉しいです!
  • 立川 茜(たつかわ あかね)

    俳優

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    初めてこの作品をDVDで観たのは、劇団員になる前、土田さんから「観てほしいシーンがある」と言われたのがきっかけでした。
    指定のシーンは、些細な苛立ちやマウントの取り合いが見える、テンポの良い掛け合い。土田さんが「結局書きたいのはこれなんだよなあ」と言っていたのを覚えています。
    多くのMONO作品で観ることができる「小競り合い」のシーンですが、『その鉄塔~』のそれはピカイチではないでしょうか。その先にある、集団規模の争いとの対比もくっきり見えてきます。
    次回本公演『その鉄塔に男たちはいるという+』では、新作部分も加わり、時間軸もぐっと広がります。色んな視点から感じて頂ける作品になると思いますので、是非劇場に観に来てくださいー!