MONO知り会

も の し り か い

新しくメンバーになった 4 人が
MONO の過去作品の DVD を鑑賞し
MONOを深堀していく企画

第5回
我々「MONO一年生」メンバーによる、過去作品鑑賞企画。第5回は金替康博推薦作品『−初恋』
まだ僕たちに出会う前のMONOは一体どんな顔を見せてくれるのだろう……
 故きを温めて新しきを知る
この企画を通して、皆様と「MONO30年」の時間を共有したいと思います。

「怠惰なマネキン」の稽古期間にサントミューゼさんに場所をお借りして鑑賞。なんと!青年団の古屋隆太さんもMONO知り会に参加してくださいました。MONO作品を一緒に観て終わった後は語り合い。とても良い時間でした。

MONO 石丸奈菜美 高橋明日香 立川 茜 渡辺啓太  2019年11月

「−初恋」

MONO第20回公演|1997.5 ◇ウイングス京都 ◇AI・HALL
第25回公演|1999.10-11 ◇アトリエ劇研 ◇東京芸術劇場小ホール1 ◇AI・HALL

ホモセクシャル達が暮らすハイツ結城。近所からは「ホモアパート」と呼ばれ、石を投げられるなどの被害が後を絶たないが住人達は楽しく暮らしていた。しかし住人の一人が「女性に恋をした」と告げることから、住人達の日常は崩れていき……。
社会から疎外された集団が内側から崩壊していく様を可笑しくも切なく描く。

撮影:鞍岡隆史

金替康博 おすすめコメント
舞台の設定から展開、そしてラストまで良く出来た作品だと思います。マイノリティー達の楽園が外部社会との軋轢によって壊れてしまうという土田作品のお手本。ただ、この作品は軋轢はただのきっかけであり組織の内部に崩壊の種があるというところが切なくて良かったはずです。私がMONOに入る前に観た1番好きだった作品です。奥村さんの舞台美術にも注目。

  • 立川 茜(たつかわあかね)

    俳優

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    キッチンの窓辺に並んだ透明や薄緑のガラス瓶が、表情を変えていく様子が大好きでした。奥村さんの美術は、毎度「窓」が印象的だなあ…。

    ハイツ結城の住人は、共通した性的指向を規準に「仲間」になり、暮らしてきた。受け止め方や発散の仕方はそれぞれに違う。しかし、「外」からの攻撃を機に互いの感覚の違いが受け入れられなくなり、コミュニティが崩壊していくー。目的や原点を共にしていても、各自そこまでの経路や捉え方は違う。それなのに、自分の物差しや価値観までを押し付けてしまうのは、自分は正しいと安心したいのか、繋ぎ止めたいからなのか…なんだか、MONOで劇団員としての自分にもチクチクと跳ね返ってくる。
    結局は個々の集まりなのだ、ということを忘れないでいたい。先日目にした、ジャマイカのスローガンをふと思い出しました。『Out of Many, One People.』 「多数」で形成する、「人々」。(超絶意訳)
    なんだか壮大な締めになってしまった!
  • 石丸奈菜美(いしまる ななみ)

    俳優

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    MONO知り新入生の身ですが、「めちゃくちゃMONOだなあ」と感じました。時代が変わってハイツ結城で生活する各々のキャラクターの背景だったりが変わっていく部分はあるでしょうが、MONOのMONOっぽさがいっぱい詰まっていて、「うわあ、MONOだ!」って……。何を言っているんでしょう(笑)
    第五場の、「でも今は……そのフックの周りだけが私の部屋なのよ」。静かに言う笹川が、苦しいのに美しく見えて、それがとても哀しかったです。
    個としての尊重と、集団としての安らぎはとてもアンバランスで、ともすればいつでも壊れてしまうのだと思うと、何も感じたくなくなるような、それでもじっとしていられないような、ゴールのない焦燥感がこみ上げました。
  • 高橋 明日香(たかはし あすか)

    俳優

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    普段作品を観る時私は自分の感情を重ねず、作品の世界観や人物にのめり込むタイプなのです。もちろん時には重ねている時もあります。
    でもこの作品は社会、コミュニティ、恋人関係、友人関係でも起こりうるテーマだったので重ねてしまう部分が多々ありました。
    同じ境遇でも人と人が互いに求め合う部分が違うかったり、人は個々である事を改めて突きつけられたり。
    もう大人だからわかってはいても相手に自分が思う価値観で物事を見てほしいと押し付けてしまう時がある。
    お互いの許せる間を探さなければならないのに。水沼さんが演じた笹川は皆の事が好きな故に集団の崩壊を受け止め切れずにいる姿、そして部屋を片付けた後、フックの話をする笹川の言葉一つ一つが物悲しかった。 
    何度も再演される作品の一つであると感じる作品でした。
  • 渡辺啓太(わたなべけいた)

    俳優

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    土田さんが脚本を通して劇団員に思いを投げかけているような…
    役者は役を演じる中でそれに応えているような…特に物語の終盤、それぞれの思いをぶつけ合って、自分の中の譲れないものを見たときに、
    「作品の中でお互いに対話をしている」
    そんな印象を受けました。
    MONOという劇団はこうした対話をずっと積み重ねて来て今に至るのだなと感じました。
    その積み重ねが、MONOのアンサンブルというものをを作り上げた。そう思いました。
    時に激しく、時に寄り添い、喧嘩もするし、相手のことが嫌いになって憎しみもする。でも、幕が降りたら「ノーサイド」一緒に作品を作る仲間に戻る。「ー初恋」という作品自体もちろん面白かったですし、それ以上に「もっと他の作品も見たい」「いろんな作品で、MONOの対話を感じたい」そう思わせる今回のMONO知り会でした。

サントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)にて、青年団の古屋隆太さんと

MONO第25回公演より(撮影:谷古宇正彦)