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尾方宣久の京都ハードボイルド

第3回 美空ひばり館

本日はあいにくの雨である。一日止む気配がない。
しかし間近に迫った本番の稽古もあることだし、延期というわけにもいかないので、予定を変更して屋内の観光スポットを考える。それほど遠くないところでと考え、数年前に両親が京都に来たときに「良かった、良かった」としきりに言っていた嵐山の「美空ひばり館」に行くことにした。
MONOでも過去に芝居の中で「川の流れのように」と使わせていただいたことがある。

今日は久しぶりの完全オフということで部屋の片付けやらなんやかんやとしていたが、時計を見るともう昼過ぎだ。あいにくの空模様で腰が重くなっていたが、一念発起、嵐山まで出かけることに気持ちを切り替える。
しかしふと、つけていたTVで「ソフトバンク・阪神戦」をやっているのに気付く。今年のプロ野球の目玉である交流戦をなかなか見られなかった僕は、ホークスファンということもあり、また2年前の日本シリーズの対戦カードということもあって、せっかく持ち上げた腰を下ろしてしまった。いつもは阪神戦ばかり放送する関西のテレビ局にあまりいい気がしなかったのだが、今日ばかりは感謝した。面白い試合展開だったのだが、さすがに試合終了まで見るわけにはいかず「4−4」の同点の場面で渋々,部屋を出る。
それにしても、本番を間近に控えているときにそれ以外のことをすると心が痛む。決して真面目だからというわけではないのだが、「そんなことしてていいのか?おい!」と いう気持ちになってしまう。
やり残した洗濯や、野球中継や、芝居のことなど、いろんなものに後ろ髪を引かれる思いで,いざ嵐山へ。

雨の降りしきる嵐山、しかし人出はやはり多い。京都屈指の観光名所であるだけはある。
京福電車の嵐山駅から程近いところに「美空ひばり館」はある。
ここら辺はおみやげ屋さんばかりで、派手な看板が並びあまり景観はよろしくない。「美空ひばり館」も上の写真のようにかなり派手だ。しかし一目でそれと分かるから観光客にとってはいいのかもしれない。

外の混雑に比べこちらはあまり人がいない。受付のあるエントランスホールに向かう。
広い綺麗な入り口には客は僕だけだ。そして受付嬢がカウンターに1人、エスカレーター前に2人、計3人の赤いブレザーを着た綺麗な女性がにこやかに僕を迎え入れる。チケットを買っている間も,エスカレーター前の2人の熱い視線を感じる。そんなに見ないでと思う。
彼女たちを好きになってしまわないよう逃げるようにエスカレーターに急ぐ。変な人と思われたかもしれない。なんで一人でこんなとこに来てるのか、どこの田舎者なのか、美空ひばりの何なのか、などと思われてるかもしれない。そんな不安を抱えたまま3階まで上がる。
エントランスホールには確か美空ひばりのブロンズ像や手形などもあったようだが、見る余裕もなかった。

3階に着くとまずガイダンスホールがある。ここでは直筆の座右の銘や各種賞状などが飾られている。
館内は撮影禁止ということで、全く写真を撮れなかった。上の写真は外で撮影したもの。
数々の賞の中でいちばん迫力があったのは、やはり「国民栄養賞」だ。一部の人間が決める賞ではなく、国民全体が認めたものであるこの賞にはさすがに見入ってしまった。ただ気になったのは当時の総理大臣が宇野宗佑ということ…。

そして「ひばりシアター」に入る。デビューからラストコンサートまでのダイジェストを流している。10分という短い時間だったが、美空ひばりをほとんど知らない僕でも少し感動してしまった。

続いて「ひばりワールド」へ。ここでは出演した映画の衣裳や写真が展示されている。当然のことながらリアルタイムでは全く知らないのだが、実際に着ていたと言われる衣裳を間近に見ると、またしてもちょっと感動してしまう。最近物事にすぐ感動したり、涙したりしてしまうのは年のせいだろうか…。

3階では他に映画の名シーンや名曲などを見たり聴いたりできる。
映画は知らないものばかりだったが、さすがに歌は少しは知っている。年代別に分かれている部屋で選曲して聴くことが出来る。知っている曲のボタンを押して聴く。すると隣の部屋から「パン、パン」と音が聞こえてくる。見るとおばちゃんが手拍子を打っている。ちょっとうるさい。かなりのファンなんだろう。が、微笑ましくもあったのでそっとしておく。
それにしても入館している人はほとんどが年配の方たちだ。僕のような年齢の人は一人もいない。おじさま、おばさま方は「ああ、これが…」「ほらほら見てみぃ」「ひばりちゃん…」とかなり楽しんでいるようだ。リアルタイムて見てきた人たちにとっては懐かしいものがたくさんあるのだろう。ときどき彼らに道を塞がれつつも「存分に楽しむがいいさ」と寛容な心で接する。しかし何だか仲間外れになった気分だ。

2階に下りると「ひばり劇場」がある。映画もそうだが数多くの舞台もこなしていたようだ。しかし、映画に歌に劇場と、かなりの仕事量だ。改めて凄いなあと思う。ここでは楽屋も再現されている。全て実際に使用されていたもので作っているそうだ。ティッシュの一枚までが本物だということ。「ええ?まさかティッシュまで〜?」と思わずに、素直にティッシュに見入ってしまう僕はいいお客さんなのかもしれない。僕はこういう実際に使っていたものとかには非常に弱い。

おばさまたちをかいくぐりながら「ひばりリビング」へ。自宅のリビングルームを再現している。…やられた。釘付けである。実際に使っていたものが怒濤のようにある。ピアノ、ソファ、棚、絵画、など、何度も言うが別にそんなにファンでもないくせに、見入ってしまう。「へぇ〜これがあのピアノかぁ」と、ついさっき解説で読んだ知識で感慨にふけることの出来る自分に少し驚く。ガラス戸に貼られた庭の風景の紙にさえ「こんな庭だったんだぁ」と素直に想像を膨らます。おばさまたちに影響されたのかもしれない。

2階には他に「ひばり衣裳」「ひばりアトリエ」「ひばりコレクション」などがある。僕でも知っているあの東京ドームの不死鳥コンサートの衣裳が飾ってあった。他も豪華絢爛な衣裳ばかりだ。プライベートなものも置いてあり、なかには「徹子の部屋」に出演した衣裳までもがある。恐るべし徹子…。
絵も描いていたようで、未完に終わった絵がなんとも切なかった。

そして1階に下りての最後のアトラクションは「川の流れのように」だ。
水の流れるシアターで、「川の流れのように」を堪能することが出来る。
すっかり全てを受け入れられるようになっていた僕は、音楽を遮る大音量の水の流れにも、後ろで手を叩くおばさまにも、もはや何の抵抗もなかった。

さて、鞍馬山、京都タワーと何かと温泉に縁があるこの「京都ハードボイルド」。
今回は「美空ひばり館」ということでさすがに温泉の話題はないと思っていたが、嵐山駅にはなんと「嵐山温泉・駅の足湯」があった。そういえば少し前にニュースでやっていた。前回までの無念を晴らすべく、さっそく駅員さんからチケットを買い、ホームの中にある「嵐山温泉」へ進む。

かなりの人気なようで行列が出来ている。
ズボンをたくし上げて待つこと10分、後ろに母子づれの団体がやってきた。嫌な予感…。
案の定、子どもたちははしゃぎはじめ、先に並んでいる僕を追い越して入っていく。そして湯のなかを歩き回る。子どもだから仕方ないとは思うが、母親はそれを見て子どもに注意するだけ、我々周りの大人には何もなしだ。それどころか場所が空いたと思ったら母親までが我れ先にと場所をとる。母親同士で楽しそうに大きな声で会話に花を咲かせていた。
それから10分くらいしてやっと僕も入れたが、行列がまだ続いているので何となく落ち着かない。壁に貼ってある温泉の解説には10分くらいの入浴が効果的と書いてあったので、10分は入ることにする。きっかり10分で、何となく待っている人に申し訳ない気持ちで出る。母子連れは依然として悠然と入っている。

こういう場所では駅員が監視して管理するのも窮屈だし、利用者のマナーに任せるしかないのは分かる。
しかし、あまりにも身勝手な振る舞いに、さすがにムッときた。注意しようと何度も思ったが、中には遠方からわざわざ観光で来ている人もいるだろうし、変な雰囲気にはしたくないという思いがはたらいて出来なかった。駅員も足湯に関してはチケットを売るだけで、ほったらかしだ。愛想も良くない。「ひばり館」の受付嬢のように、こちらが好きになってしまうほどではなくていいが、接客の礼儀くらいはわきまえていただきたいものだ。

ちょっと残念な気持ちになってしまったが、足だけはほっこりして家路につく。
そして、ホークスは負けていた。


今日のおみやげ

「美空ひばりの特製リンゴカレー」です。
他にも「ビーフカレー」「野菜カレー(確か京野菜入りだったと思う)」があります。御守やキーホルダーやストラップなどいろんな記念グッズがありましたが、今後のことも考えて食べ物もたまに入れておかねば置き場所に困ると思い、カレーにしました。
しかし、カレーを買ったことを忘れて、帰りにカレーを食べてしまったので、まだ食べていません。

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