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尾方宣久の京都ハードボイルド


第2回 京都タワー

しばらく京都を離れて、東京に住んだことがある。
たまにMONOの用事で戻ってきていたが、京都駅に着くとなんとなくホッとしたものだ。
京都駅から降り立つと最初に目に入るものが京都タワーだ。
その京都タワーを見ると「ああ、京都に戻ってきたんだなぁ」という気持ちになった。
普段生活しているときには、そこにあって当然なもので、別に京都タワーがライトアップしていようが何にも思わない。だからといっては何だが、京都タワーの内部には足を踏み入れたことがない。下のビルの中の本屋さんや、お土産屋さんにすら入ったことがない。
今回は、いつもは外から眺めているだけの京都タワーの内部に行ってみることにする。
自転車で行けるので交通費もかからない。

今日は春の行楽日和。おまけに日曜日。桜も見頃とあって京都駅周辺は大賑わいだ。
花粉症の僕はマスクとメガネを、そしてツルツルの服を身にまとった出で立ちで、京都タワーに到着した。
早速デジカメで京都タワーの撮影を開始するが、この人出の中、一人でカメラをパシャパシャやるのは何とも恥ずかしい。前回の鞍馬山のときは観光以外で来る人はまずいないので、写真を撮るのは全く抵抗がなかったが、さすがに京都駅前では辛いものがある。しかしそんなことを言っていても仕方がないのでパシャパシャやった。そのうちに恥ずかしさは紛れてきた。マスクとメガネのおかげかもしれない。花粉以外にも防いでくれるものがあるようだ。

京都タワーのパンフレットより。
「このタワーは地下三階、地上九階の本館ビル屋上に、鉄骨を使わないスマートな、円筒式の画期的な構造によって建設され高さ131メートル(ビル31メートル、タワー100メートル)〜骨組みは一切なく、薄い外被(殻)が力を受けとめ、全体をささえる構造で、台風、大地震にもびくともしません。」とのこと。
その外観は和ロウソクをイメージしたデザインで、開業が1964年。2004年の12月で40周年だったそうだ。

タワービルの中に入るとまずは名店街だ。店員のおばちゃんがここぞとばかりに声をかけてくる。
「観光客ではないのですってば」「新選組グッズなんていらないんですってば」と思いながら、しかし初めての場所に幾分ドギマギしながら、展望室へのエレベーターへと向かう。

エレベーターには例の如くエレベーターガールがいる。これが厄介だ。
以前に出くわしたエレベーターガールは、ボタンを押すとくるりと振り返り、乗客全員に向かい笑顔でアナウンスを始めた。しかもひとりひとりの目をじっくりと見ながら。これには緊張した。自分に気があるのかという勘違いまで起こしてしまった。そして少し好きになった。
京都タワーのエレベーターガールはというと、ボタンを押すと喋らない。振り返りもしない。…んん?おかしいぞと思っていると、スピーカーからアナウンスが流れてくる。なるほど、それで喋らないのか、しかしこのアナウンス、なんだか変なアクセント。舞妓さんのような京都弁で喋っているのだ。京都には長いこといるが、久しぶりに聞いた京都弁だった。

そして展望台に着く。京都では建物の高さに規制があるので、こんなに高いところから見る京都の街並みは初めて。自宅方向(写真左)、MONOの事務所方向(写真中)、京都駅(写真右)など360度、ぐるぐる4周する。
望遠鏡が有料なのに納得出来ない僕は、頑張って肉眼で楽しむ。

展望室の景色よりも気になったのが、その中にあるものだ。
お土産屋さん、ゲーム機、プリクラはもちろん、記念メダル機、手相占い、健康チェックまである。
それからなぜかタワーには付き物、誕生日などお好みのの年月日の新聞を出せる機械もある。
プリクラやメダルならまだしも、手相占いや健康チェックなど他でやれるのに、いったい誰が?と思っていると結構やっている人がいる。展望券に付いていた割引券の力だろうか。

階段を下りると、京都の紹介ビデオがプロジェクターで流れている。しかしタワーの中は明るいため何が映っているのやらあまり分からない。家族連れがスクリーンを見ることなく談笑している。ただの休憩スペースのようだ。僕も休憩する。少し肉眼が疲れたようだ。
この階ではいろんな企画ものをしているらしい。今回は京都タワーの写真コンテストの入選作品を並べている。
アイデア指向の写真から、幻想的なものまで、これは面白かった。
また「とってもおもしろいマジック・ミラー」なるものもある。どこが「とってもおもしろい」かというとミラーの前に立つと胴長短足になるのだ。どうってことはないのだが「とってもおもしろい」という看板には目を奪われる。あまり人気はないようで、上の階では散々はしゃいでいた子供たちがこの「とってもおもしろい」ものを素通りしていた。かわいそうなマジックミラー…。
しかしよく考えるとミラーに映る自分が京都タワーになるというイカしたコンセプトなのではないのかと気付く。そうだ、きっとそうに違いない。恐るべし、京都タワー。

タワーの中はさすがに40年の歴史を感じさせる。
以前の京都駅とならちょうどいい感じなのだが、駅ビルだけが新しくなったので、どうしても古臭さを感じてしまう。しかしそんな古臭さが結構ホッとする。もちろんタワービルには京都の寺社仏閣のような歴史はないが、その40年ぽっちの古さに懐かしさを感じてしまう。僕が京都に来た頃は駅も街の建物も大学も、うすぼんやりとしていた。おしゃれでデザイン的なものなんてほとんどなかった。新しいものや伝統ばかりがもてはやされるのもどうかと思う。もちろんそういうものも素晴らしいが、中途半端な古さもある京都もいいものだ。何でもむやみに新しくしないでほしいと願う。

タワービルの中、いたる所に「たわわちゃん」のポスターがある(写真左)。京都新聞に掲載された記事とともに、「たわわちゃん」の紹介をしてある。「たわわちゃん」とは京都タワー40周年の記念に開発されたキャラクターで、スタッフが付けていた「たわわちゃん」のピンバッジに問い合わせが集まり、グッズなどが販売されるようになったそうである。関西ローカルのテレビ番組でもときどき取り上げられていた。

ひととおり京都タワー内部を満喫した僕は展望室にあった写真展に感化されて、自分の気に入った作品の写真を自分のデジカメで撮ってみることにする。

まず格子状の後ろに京都タワーを撮った写真だ。これは間違いなく京都駅から撮影したものだ。
タワーを出て京都駅に向かう。しかしここぞというスポットが見つからない。
今日の京都駅は前述のように凄い人出で、駅ビル内を移動するのもひと苦労。大階段のある室町小路広場ではオーケストラコンサートが開かれていた(写真中)。
大階段とは反対側のホテル側に行く。こちらはやけに人が少ない。いるのはカップルばかりだ。そのイチャイチャぶりに居心地を悪くしていると、空中経路なるものを発見。ここは静かで京都タワーも見られるし、京都駅の吹き抜けも真下に見える。とてもいい所を見つけた。そこから、南側にもくつろぎスペースを見つける。ここだ!しかし入選作品のようにうまくは撮れない、(写真右)
本当は駅ビルのガラスに映る京都タワーを撮りたかったのだが、どうしてもいい場所が見つけられなかった。

そして空飛ぶアトムと京都タワーの写真。これも京都駅から撮ったものに違いない。
京都駅には手塚治虫記念館があり、駅前には鉄腕アトムやジャングル大帝レオの人形がいくつか置かれているのだ。この撮影場所はすんなり見つかる。写真を撮ることにだいぶん羞恥心は薄れてきていたが、自意識のせいか、素早くアトムとタワーの写真を撮る。別に恥ずかしいことなんかないのは分かっているのだが。おかげで少しぶれてしまった。(写真左)でも逆にいい感じがしないでもない。

次は夕焼けの中の新幹線と京都タワー。これは結構遠くまで行くはめになりそうだ。新幹線が下を走っているのでおそらく歩道橋の上からだろう。鴨川で花見をしている人達を横目に東へ東へとテクテク歩く。
そしてついに歩道橋を見つける。歩道橋にはおじさんがいる。干している座布団の見張りをしているようだ。不条理にも警戒された目で見られた僕は、座布団には興味のないことを示すため、新幹線を必要以上に熱心に眺める。ときどき「…700系」とかつぶやいた方がいいのかと思うがやめておく。
歩道橋は新幹線の線路の上ということで厳重に金網が張ってあり、そのすきまにレンズを押し込んでの撮影になる。夕焼けにはまだ早く、青空のもとでの撮影となったが(写真中)、逆にいい感じがしないでもない。

おまけに夜のライトアップされた京都タワーを撮る。(写真右)

他の観光地と違って、京都タワーは離れた場所からも見られるのでありがたみがないのかもしれないが、他の観光地にはない懐かしさを感じることができる。
そしてなぜかタワービルの地下には大浴場もある。
展望券に大浴場の割引券がついていたのだが、あまり行きたいとも思えず、前回のくらま温泉の悔しさは晴らせなかった。しかしまあ一度行ってみる価値はありそうだ。


今日のおみやげ

今回は迷うことなく「たわわちゃん」。行く前から決めてました。
おっとりした性格で、チャームポイントが色白・スマートな、女性だそうです。
お土産屋さんのおばちゃんから「かわいがってやっておくれやす」と言われました。周りに「たわわちゃん」のことを知る人はあまりいませんが、さすがに京都タワーではかなり浸透している様子。人気も抜群だとか。
あんまり「かわいがる」のも気味悪いので普通に飾ります。

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